数学で数値を求めるとき、整数にならない場合には分数で表すのが通常です。
(一部の単元では少数で表します。統計分野など。)
それに対して、理科では少数で表すのが通常です。
この違いは、学問としての数値の扱いが異なるからといえるでしょう。
数学は真の値を扱い、理科では概数値を扱います。
真の値とは、例えば、体重50kgの人は50kgちょうどの体重をしているわけではなく、限りなく細かく測定すれば、50.0943547593729504kgとかになるかもしれません。
このように、それが持つ本当の値を真の値と呼びます。
真の値を正確に扱うには、分数が適しています。
例えば1÷3を計算したときに、少数で表すと、
1÷3=0.333333333333・・・
となり、無限に続く少数が現れます。
どこかで桁を区切ってしまえば、そより下の桁は含まれず、真の値とはいえなくなってしまいます。
一方、分数で表すと、
1÷3=1/3 (3分の1)
となり、この表記には少数にした場合の無限に続く桁さえも全て内包されます。
分数は真の値を簡潔に表すことができる優れたツールといえます。
一方で理科は、自然科学という学問体系を “教科” としたものです。
自然科学は、観察と実験により得られる、つまり観測し得る値を重用します。
また、観測の対象により、どこまでの精度を必要とするかが異なります。
粒子の世界で距離を扱うときには nm(ナノメートル)以下の単位まで扱いますが、天体の世界で nm 単位の差はあまりにも小さすぎて意味を成しません。
どこまでを意味のある数とするかを表すことができるのが、少数というわけです。
(ここまでを意味がある数である、と定めるのが “有効数字” です。)
以上のことから、数学では分数、理科では少数で表すことが通常というわけです。
解答のときの豆知識として知っておくと得した気分になれるかもしれません。
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