数学が苦手な人へ。数学が得意な人が、基礎を習得するときに頭の中で起こっていること。
「頭いい人って、最初っから脳にそういう差がついてますよね?」
高校生の若人くんに唐突に問われた質問です。
(^^;)
若人くんがそう思った経緯を聞きました。
友人に数学が得意な人がいて、解説を一度聞いたらすぐに色々な問題に対応できて、何日経っても忘れず同じことができるのが不思議なのだそうです。
巷(インターネット上)の情報には「頭の回転には遺伝も大いに絡む」というものもあるにはありますが、若人くんの話を聞いた印象では、脳の作りというより、脳の使い方の話である気がしました。
私が見てきた限りですが、数学が得な人と苦手な人の違いを綴ってみようと思います。
数学が得意な人は、"基本" に "問題" を当てはめている。
数学が苦手な人は、"問題" に "基本" を当てはめている。
基礎の習得段階の問題は、公式や定理にそのまま数字を当てはめて正確に計算できるようになることを目的としたものがほとんどです。
設問が変わっても数字が変わる程度で、解き方はほとんど変わりません。
数学が得意な人は、この段階から、基本を頭に置きながら設問を見ています。
例えば三角関数の加法定理の公式の1つに、以下の式があります。
sin ( α+β ) = sinα・cosβ + cosα・sinβ
加法定理の基礎習得をする際に、常にこのような式を頭に置こうとします。
そして、頭の中の公式に、設問から α や β にあたる値を拾って当てはめています。
常に公式が頭の中にあって、その上を横断的に設問が流れていくイメージでしょうか。
基本を使うことが主目的になっているので、素早い基礎習得が見込めます。
数学が苦手な人は、設問が変わるたびに、基本をリセットしています。
加法定理の基礎問題に取り組む際にも、設問1で使った公式が、設問2では頭から消えているのです。
その都度「何だっけ?」と公式を調べたりするのですが、設問3でまた頭から消えてしまいます。
新たな設問に当たるたびに、それを解こうとして、その都度基本を引っ張り出してきています。
各設問を解くことが主目的で、基本を使うことは副次的になっているため、前者に比べて習得がままならないわけです。
数学が得意な人は、いつでもできるようになるまで "継続" している。
数学が苦手な人は、一度できたらそこで手を止めている。
基礎の習得は、どうなれば習得したことになるかといえば、いつでも、少し調子が悪いときでも、できる状態になったときです。
熱にうなされているときでも、箸の持ち方は忘れないイメージです。
数学が得意な人は、ゴールが “いつでもできる状態” になっています。
数学が苦手な人は、ゴールが “そのときできる状態” になっています。
違いは、“継続” があるかどうか。
数学が得意な人は、いつでもできるようになるまで続ける という、大変シンプルなことを実践しているわけです。
仮に遺伝など先天的な理由により脳の機能に決定的な差がついてしまうとして、その事実があることと自分がどうするかは、直接関わりがありません。
自分の目的にあった行動を選択するのがいちばんだと思います。
(^^)
新潟の家庭教師
野上